
クラウドコンピューティング(Cloud Computing)とは、従来は手元のコンピュータで管理・利用していたようなソフトウェアやデータなどを、インターネットの向こう側にあるサーバが提供するサービスの形で必要に応じて利用する。
IT業界ではシステム構成図等でインターネットの向こう側を「雲(cloud:クラウド)」のマークで表す慣習があることから、このように呼ばれており、この「クラウドコンピューティング」を最初に使ったのは、米グーグルのCEO エリック・シュミット(Eric Schmidt)といわれている。シュミットは、英エコノミスト誌「The World In 2007」(2006年11月発行)に「Don’t bet against the Internet.」という一文を寄せ、「われわれはクラウドコンピューティングの時代の中にいる。(中略)このネットワークは真にコンピュータとなるだろう」と述べたことが切っ掛けとされている。
サービスの提供者は大規模なデータセンターなどに多数のサーバを用意し、遠隔からインターネットを通じてソフトウェアやデータ保管領域を利用できるようなシステムを構築する。サービスの利用者はユーザ登録を済ませるとすぐにソフトウェアなどを利用することができ、作成したデータの保存・管理などもサーバ上で済ませることができることから、手間をかけずに簡単にはじめることが出来るメリットがある。
また、利用に際して、ソフトウェアの購入やインストール、最新版への更新、作成したファイルのバックアップなどの作業から解放され、必要なときに必要なだけソフトを利用することができるのもメリットとなる。
クラウドコンピューティングで提供されるのは、個人の利用するオフィスソフトやメールソフト、オンラインストレージなどから、企業の業務システムやデータベースまで多岐に渡る。
■クラウドコンピューティングの種類
クラウドコンピューティングには大きく分けて「パブリッククラウド」と「プライベートクラウド」の2種類があり、インターネットから誰でも利用できるようなサービスを「パブリッククラウド」といい、大企業などが自社ネットワーク上で社員などが利用するためのクラウドコンピューティングを「プライベートクラウド」と呼んで区別している。
クラウドコンピューティングと似た概念として、「ASPサービス」「ユーティリティコンピューティング」「グリッドコンピューティング」「SaaS/PaaS」があり、これらをより包括的な概念として、何らかのコンピューティング資源(ソフトウェア、ハードウェア、処理性能、記憶領域、ファイル、データなど)をインターネットを通じて利用する形態の総称としてクラウドコンピューティングが用いられる。